猜疑心や恐怖心を捨てると、穏やかでいられる
時代劇で、
主人公が夜に見知らぬ町を歩いていると、
窓の隙間から民家に住む町人が外を覗き見て、
近くになるとパタンと窓を閉める場面があります。
町人は見知らぬ人に対して、
猜疑心や恐怖心に溢れています。
これと同じことが現代では、
通勤電車や街なかで起きています。
通勤電車の人々に対して、
「割り込んで来るのではないか」
「ガサガサ新聞を広げてくるのではないか」
「自分にぶつかってくるのではないか」
街なかで、
「素っ気なくされるのではないか」
「無視されるのではないか」
「店員さんがぞんざいにしてくるのではないか」
などと、悪いことを考えたりします。
これが、気持ちよくないのです。
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◆自転車置き場のおじさんは、いい人だった
駅の自転車置き場に、
自転車整備のおじさんがいます。
定年退職されていて、
けっこうなご年配です。
いつも、朝と夜の通勤時に会います。
その人はパッと見ると、無表情です。
整備員さんなので、
置き方のマナーが悪い自転車に対して厳しいです。
印象としては、感じがいいとは言えません。
だから、いつもささっと通り過ぎていました。
でも、今日、自転車の空気が減っていたので、
空気入れを借りて空気を入れていました。
すると自転車整備のおじさんがふらっと近づいてきて、
「もう花火おわったかねー」と空を見ながらひとりごとのように話しかけてきました。
『今日、花火だったんですか』
「うん、00であってたんよ、今日」
『そーだったんですね、知らなかった』
「まー、前より規模が小さくなったけどね。前はもっとすごかった」
『あー、協賛が減ったんですかねー』
「そー、減ったんよなー」
なんてことないやり取りでした。
でも、どこか温かかった。
いつも感じていた冷たい印象とはまったく違うものでした。
じつは、おじさんが冷たいのではなくて、
自分自身が見知らぬ人に対して冷たく見ていたのでした。
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◆人間は、本来、温かい
通勤電車に乗っている人は、
みんな苦い顔をしています。
でも、ひとりひとり、
本当はみんな普通の人です。
通勤電車に乗っていると
「世の中、嫌な人とか感じ悪い人が多い」と感じてしまいます。
でも、みんな、そんなに悪い人ではない。
ちょっと話したり、笑顔を見せたりしたら、
猜疑心や恐怖心は無用だったと知ります。
見知らぬ人に対して、
猜疑心と恐怖心をなくせば、
ちょっと変わってきます。