なぜ、選択と集中の戦略を間違うのか
売れる商品だけに絞ることは『効率的』で、経営資源を少数の商品に大きく注ぐことができるメリットがある。
商品アイテムを増やすことは、経営的には『非効率的でコストがかかる』点が基本的なデメリットになる。
一方、商品を絞ることによるデメリットがある。
『その商品しかないの?』となってしまう点。
具体的には、顧客の求める要望やベネフィットは多岐にわたる上に変化していくのに『商品が少ない』場合、顧客の求める機能や要望に応えることが出来なくなる欠点があるのだ。
例えば、服でいうと最も一般的なデザインのTシャツだけに絞ったとする。
この時、販売者側としては『いろんなデザインを取り揃える手間とコストが省ける』となる。
しかし、顧客からすれば『自分は、Tシャツって似合わないんだよね』『ポロシャツとか、デザインが良い別のものが欲しいんだけど』『Tシャツって持ってるから、次は個性的でおしゃれなカットソーが欲しかったのよね』
という様々な要望がある。
その中で『Tシャツばかりのお店』は、魅力に欠けるのである。
経営的な視点で、『商品やサービスを絞ること』で、少ないリソースと労力を一部の商品やサービスに集中できることのメリットを選ぶのは、正しい。
しかし、顧客の求めるものをスルーしてしまった状況で、単純に『絞る行為・集中する行為』を取ることは危険だ。
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広げすぎることで、全てが中途半端になってもいけない。
絞り過ぎて、顧客の要望に沿わない商品提供の状況もいけない。
本質は、『顧客の求めるものを提供する』ことに常にアンテナを張りトレースすることであり、顧客に最も欲しいものを良質な形で提供できる経営資源の配分を取るバランス感覚である。
絞ること、拡散させること、経営とはその舵取りだ。